『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』 尾形真理子 コピーライターの片鱗
この本はほとんどジャケ買いでした。
作者もこの本も全く知らず、ルミネの広告と繋がったのも読後。
いつも立ち寄る、表参道の青山ブックセンターで、平積みされていたのをパッと手にとって、すぐにレジに持って行きました。
青山ブックセンターって本当に本が欲しくなる電波が飛んでるのかってくらいに買っちゃう。
安いし、まぁいいかって。本は一期一会って誰かが言ってましたし、逃したら二度と出会わない方が怖い、、、
コピーライターが炙り出す女性像
一つのセレクトショップを起点としているが、群像というほど繋がりはありません。
結末を描かないことで、前を向き始めた女性たちの姿勢で終わり、良くも悪くもリアリティがある。下手にハッピーエンドにしないことで、この先の彼女たちを想像できるのは楽しい。
描かれた女性たちの可愛らしさ、しなやかさの一方で、女性によって描かれた女性視点の男性にげんなりする部分もありました。読む中で呆れたり、思わず唸ってしまう不思議な体験。
作者がルミネなどを手掛けるコピーライターということで、言葉に無駄がなく鋭さがある。その分、所々で違和感を感じる部分はあった。(小説家による小説家とは良くも悪くも違う、大味な印象)
タイトルや物語末に挟まれるコピーチックな一節は思わず声に出して読みたくなる。
私とっては尾形真理子という人を知ることができただけでも大きな収穫でした。